まずはニコチン依存症かチェック
喫煙者の70%がニコチン依存症だといわれており、この場合、自分の意思で禁煙することが非常に難しくなりますが、病院での薬物治療を保険適用で受けることができます。
まず、自分がニコチン依存症であるかを以下の設問でチェックしてみましょう。
(「禁煙治療のための標準手順書 第6版」(日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会)を基に作成)
【設問】
問1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
問2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
問3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
問4. 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5. 問 4 でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
問6. 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
問7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
問8. タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
問9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
問10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。
上記の設問で「はい」が5つ以上あり、かつ、「1日の喫煙本数( )本 × 喫煙年数( )年」が200以上の場合は「ニコチン依存症」と診断されます。
禁煙治療の流れ
初診では、「ニコチン依存症の診断」、「1か月以内に禁煙を始めたいと思っていること」、「禁煙治療を受けることに対する文書による同意」を確認します。
このうち、「1か月以内に禁煙を始めたいと思っていること」は問診による確認が一般的ですが、「禁煙治療を受けることに対する文書による同意」は署名が求められます。これは真剣に取り組もうという患者の気持ちの後押しをする効果も期待できます。
このほか、たばこの有害物質がどれくらい体内にあるかを調べる検査である「呼気一酸化炭素濃度検査」も行います。
1回目の受診では、医師から禁煙の実行や継続に関するアドバイスを受け禁煙補助薬を処方されます。2回目以降は、毎回、診察、呼気一酸化炭素濃度検査、禁煙実行等に関するアドバイス、禁煙補助薬の処方になります。
2009年の調査によれば、5回の診察全てを受けた人の78.5%は、治療完了時に少なくとも4週間は禁煙を継続しています。
禁煙治療の薬の種類
禁煙治療の薬(禁煙補助薬)の種類と特徴は次のとおりです。
ニコチンパッチ(貼り薬)
・公的医療保険の対象(要処方箋) ・ニコチンを皮膚から吸収させる ・毎日1枚皮膚に貼る ・8週間の使用を目安に貼り薬のサイズを次第に小さくしていく
ニコチンガム
・薬局薬店で購入 ・口内の粘膜からニコチンを吸収 ・タバコを吸いたくなったときに1回1個を噛む ・12週間の使用を目安に次第に使用個数を減らしていく。
バレニクリン(飲み薬)
・公的医療保険の対象(要処方箋) ・ニコチンを含まない ・禁煙時の離脱症状だけでなく喫煙による満足感を抑える ・禁煙を開始する1週間前から飲み初め12週間服用 ・1日2回、食後に服用