アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、症状が悪くなったり改善したりを繰り返す皮膚炎。アトピー治療のポイントをまとめた。
アトピーになりやすい人とは
家族にアトピーや小児ぜんそく、アレルギー性鼻炎の患者がいる場合、アトピー発症のリスクが高い。アトピーは、遺伝性の素因を持っている人だけに発症するものであり、食べ物や生活環境が原因で発症する病気ではない。しかし、アトピー素因を持っているすべての人が発症するわけではない。
また、基本的には子供の病気であり、幼児では10人に一人がアトピーを発症しているともいわれる。8割がたは成人まで自然に良くなる。
アトピーが起こる仕組み
はっきりとは解明されていないが、免疫異常、皮膚のバリア機能の異常、という説が有力。いずれにしても、アトピー素因を持っている人は肌が敏感で、普通の人以上に免疫機能が過剰反応し、皮膚炎を発症する。
アトピーの主な症状
強いかゆみを伴う発疹やかぶれが、左右対称に汗の書きやすい場所にできる。ほかの皮膚炎との見極めが難しいが、発疹の分布や年齢、経過等からアトピーの診断をする。
年齢とともに症状が変化するのも特徴の一つ。
乳幼児(生後1年ころまで):
ジュクジュクした新進やただれが顔(耳、口の周り、首が多い)にできる。また、腹部・背中が乾燥し、白く粉をふいたりカサカサになったりする。
小児期(1歳から15歳ころ):
ひじやひざの裏側に、カサカサ、またはジュクジュクした湿疹ができ、的口の周りが乾燥する。かゆみが強いことから強くカクことで、皮膚が厚く硬くなる苔癬化(たいせんか)病変になることもある。肌が乾燥する冬や汗のかく夏は特に悪化しやすくなる。
思春期以降(15歳以降):
軽快することが多いが、小児期の症状に加えて顔や首に赤い湿疹ができやすくなる場合もある。また苔癬化(たいせんか)病変が全身におよぶ場合もある。
効果的なアトピーの治療法
ステロイド外用薬を患部に直接塗る。アトピーを悪化させる原因は、患部をかきむしってしまうことだるため、書かないようにすることが重要。
ステロイド剤の主な効果
1 抗炎症作用:炎症を抑えるたんぱく質の生産を促す。
2 免疫抑制作用:過剰な免疫反応を抑え、刺激に対する体の反応を抑制する。
3 血管収縮作用:患部周辺の毛細血管を収縮させ、かゆみを抑える。
ステロイド剤に副作用はあるか
内服した場合はステロイドが全身にいきわたり、糖尿病などの副作用があるものの、アトピーでのステロイド利用は、患部に塗るだけなので、全身的な副作用を起こす可能性はほとんどないといえる。ただし、全身的にべたべたと長期間塗り続けていれば、内服した場合と同じような副作用が起こる可能性がある。
アトピーがなかなか改善しない理由
適切な強さのステロイド外用薬を使用していない場合である。弱いステロイド剤を使用していたり、薄めて使用していれば治るものも治らない。
ステロイド剤のうまい使い方
患部だけにピンポイントで直接塗ること。ただし強くこすって刷り込まないようにすること。かゆみなどの症状が治まったら使用をやめる。長期間塗り続けていると皮膚が薄くなったり血管が浮き出たようになったり、ニキビができるなどの部分的な副作用が出る恐れがある。
ステロイド剤以外の治療法
抗ヒスタミン剤が処方されることがあるが、じんましんやアレルギー性鼻炎などヒスタミンが原因で起こるかゆみには効くものの、アトピー性皮膚炎にかゆみにはあまり関与していないため効くものではない。
免疫抑制のタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)があり、ステロイド剤と違い、健康な皮膚に使用してもほとんど吸収されないことから、副作用も少ないと思われる。しかし、ひどいアトピーにはあまり効かない。
免疫抑制剤のシクロスポリンを使う方法が登場したが、長期間使用すると腎障害を起こすことがわかっている。
日常生活でのアトピー予防法
かかなければ症状は治るので、強い刺激を与えない。食事制限は、食物アレルギーを合併しているアトピーの場合にこれを抑えるために効果があるが、アトピー性皮膚炎そのものに効果があるというわけではない。